綺柳 柚唯(きりゅう ゆい)
現住所:東京都八王子市みなみ野
生まれ:茨城県潮来市
基本的に八王子市内の専門学校に通う学生です。
戦闘ものは、メタルギアとかバイオハザードなどの第三者視点
(っていうのか覚えてないのですが、)が好きです。
というか、それ以外は、あまりやりません。
FPSは苦手です。RPGに至っては7のほうが好きです。
(意味わかる人いるかなぁ。)
あと、シミュレータは好きなほうです。
小さい頃から、「Theコンビニ」とか
「ドラックストア〜マツモトキヨシで買い物!〜」とか
大好きでしたね。
(知ってる人少ないんですよね。)
今は、グランツーリスモが好きです。軽自動車とか国産SUVとか増やしてほしいな。
これが現在の本業(?)といっていいでしょう。(断言)
詳細はそのうちアップします。
自作PCは、自分用・他人用あわせて10台程度組み上げた経験を持っています。
「ジャンク」「ワゴン内処分」という言葉が大好きな人間です。
1970年代の日本の曲を好んで聴いているので、
70年代にはそこそこ詳しいと思っていますが、最近の曲については90年以降知りません(笑)
好きな曲は、ガロの「学生街の喫茶店」や
もんた&ブラザーズの「ダンシングオールナイト」とかです。
3月…丁度1年前に俺や保奈美たちは蓮美台学園を卒業した。
そして今、1個下であるちひろが卒業する。
俺は、2年の時、ちひろと出会い、そして付き合うようになった。
今、俺は、日本人ならずとも誰もが知っている赤い缶の炭酸飲料の会社で働いている。
別にその職が好きで入った訳じゃない。
「向こうの世界」で独りぼっちだったちひろに常にあえるように地元の企業に就職しただけだ。
そんな俺には、一つある悩み事があった・・・
それは・・・いつ結婚するかということだった。
ちひろはどう思っているのだろうか。
……もしかしたら結婚なんて全く考えていないのかもしれない。
…………………もしかしたらすぐ結婚したいと思ってるのかもしれない。
直接ちひろに聞いてみる?
なぜだかわからないけど、聞きにくい。
俺の中では聞いても傷つくことでは無いと思っている。
でも、聞けない。
日曜日、今日はちひろの卒業後初デートの日。
なんだか早く起きてしまった。
着替えて早めに家を出ることにした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「…久住先輩…こんにちは。…もしかして…お待たせしてしまいましたか?」
「いや、今日は早く起きたから早めに来たんだ。」
「…すいません。」
「謝らなくても良いよ。まだ約束の時間まで10分近くあるし。」
「…はい。」
「今日はどこに行く?」
「いつものお花屋さんへ行った後…少し遠出して隣町にある大きめの植物屋さんへ行こうと思うのですが。」
「あっ、でも植物屋さんて言っても近くにいろんなお店屋さんがあるんですよ。」
「…そんな感じで…いいですか?」
「うん、いいね。じゃあ、早速行こうか。」
「…はい!」
いつもとは違う何かを俺の中で感じていた。
それは「嫌な予感」というわけでは無いような気がしていた。
でも少しの不安もあった。
いつもの花屋。
ちひろは、プランターや、鉢植え、土などをみていた。
「ちひろは、今も、どこかで園芸やってるの?」
「いや…今はやってませんが…今度どこか場所を見つけてやりたいと思ってます。」
「そうか…そのときは手伝うから。…学校でやってた時みたいに。」
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ちひろはあるドアの前に立っていた。
そのドアとは、先輩である天ヶ崎 美琴の部屋のドアである。
本来、オペレーション・サンクチュアリの研究が成功した時には、
全員の未来への帰還が原則とされていた。
しかし、あまりにもこちら(現在)の生活に慣れすぎてしまって
帰還をしたくないという人が多く出た為、未来にある本部の責任者
(まあ、(未来から見ての)過去の責任者と兼任の怜さんがやってるのだが)
が「第二の原則を適用させて帰還の意志を尊重する方向にします。」
と決定し、未だに蓮美寮で生活しているのだ。
ちひろはそのドアを小さくノックした。
今から美琴に相談する勇気と同じくらいの小ささで・・・・・・
<コンコン>
「は〜い! ど〜なたですかぁ〜?」
「………橘です。」
「あっ橘さん? 今あけるから待ってて。」
「…こんにちは。…今、時間ありますか?」
「うん。大丈夫! どうしたの?」
「……えっと、その……」
「ん?」
ちひろは前からこんな感じでもじもじしながら話すのだが、
美琴は今日のちひろに何か違いを感じていた。
「ちひろちゃん? ここじゃあれだから中に入って。」
「あっ、はい…」
〔紅茶と緑茶どっちがいい?〕
「あっ、……緑茶をお願いします。」
「はい。 ………で、話って?」
「卒業後お花屋さんをやりたいと思うんです……」
「お花屋さん? ……いいと思うよ。」
「でも、久住先輩がどう思ってるのかわからないんです。」
「……橘さんはどう思ってるの?……久住君はきっとわかってくれると思うんだけど。」
「……怖いんです。このことを久住先輩に話したら離れて行ってしまいそうな気がして…。」
ちひろは、何も直樹を信じていない訳ではない。
「ここ」に来るまでに辛い別れがあった。
だからこそ…怖いのだ。
「大丈夫。 …大丈夫だよ! 久住君は理解してくれるよ」
「はい。…わかりました。 今度、久住先輩に話してみます。」
「うん、……がんばってね!」
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「…ひ……ひろ………ちひろ?」
「ひゃっ! はっ! はい!」
「どうしたの?いつもと違うみたいだけど。
よかったら少し休もう。 な?」
「はい……」
俺たちは、いつもの花屋を出た。
<カランコロン……>
「で?何がいい?」
「……ハーブティーを…」
「すいませーん。………コーヒーとハーブティーお願いします。」
なぜか沈黙が続いた。
沈黙とはいってもいつものとは違い、その場から離れたくなるような感じだった。
何を話せばいいのか……考えていると
「あっ……あのっ!」
「はっ!はい!」
ちひろがいきなり声を出したので少しびっくりした。
「あの……相談があるんです。」
「相談?」
「その…これからのことで…」
これからのこと?
まさか、結婚とか?
時期を見てこっちから話そうと思っていたが。
結婚……
「お店を開こうと思うんです。」
「へ?」
思っていたことと違う話が出てきたので
思わず変な声を出してしまった。
「久住先輩……?」
「あ? う‥うん。いいと思うけど。」
「でも、久住先輩に迷惑が掛かっちゃうと思うんです。」
正直、今微妙な返事をしてしまったが、
彼女は本気のようだ。
「……気にするなよ。そんなこと。」
「え?」
「今まで、学校の花壇とかをいじって他の人のためになることをやってきたんだし
今度は、自分の好きに花をいじってみるのもいいと思うよ。」
俺としては大賛成だった。
でも…
「でも…お店を開くにもお金がないんです。」
完全に気にしていなかった。
そりゃお店を開こうとするとお店を借りるお金や売り物の花を買うお金とか
結構な額のお金が必要なのは当然だ。
「・・どうにかなるよ。うん。」
「え?・・・でも・・・ 」
このとき久住には揺るぎない自信があった。
実際のところどうやってお金を作るかなんて考えていなかった。
でも、ちひろがいてくれれば…
ちひろさえいてくれれば…
そしてその笑顔を見せてくれていれば…
不安なんて全くと言っていいほどなかった。
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しかし、やはり久住はお金を工面することができなかった。
だから今日は、久しぶりにある人物に会うことにした。
それは、オペレーション・サンクチュアリも終わって普段の生活をし始めた
蓮見台学園 養護教師 仁科 恭子・同じく 古典担当教諭 野乃原 結そして
オペレーション・サンクチュアリ総括責任者である怜さんの3人だ。
久住は久しぶりに時計台の前に立っていた。
オペレーション・サンクチュアリ終了後この時計台は閉鎖されていた。
しかし、今回久住が相談があると連絡してきたとき
「どうせなら…久しぶりに入ってみない?」
という恭子の一言で時計台の封印が解かれた。
…なぜふういんなのか?
それは、実は時空転移装置はまだ現代に残っているのだ。
いくらオペレーション・サンクチュアリが終了したとはいえ
未来で何が起こるかわからないので、研究&避難用に残しておいたのだそうだ。
時計台の非常口の前に立ち、静かにドアノブを回した。
初めて入ったときのように吸い込まれるかのように
時計台の中に入った。
<コンコン>
「はい、久住君ですよね? どうぞ。」
「失礼します。…お久しぶりです。」
「こんにちは久住君。元気そうでよかったです。」
「久住!久しぶり!元気だった?
橘と毎日がんばっちゃってるとか?」
「仁科先生…そういうことはいうべきでは…」
「まあまあ、それは置いておいて。
久住君。相談とは?」
「実は、今度ちひろちゃんとお花屋さんを開こうと思ってるんです。」
「うゎぁ。いいですね。」
「でも、結構お金掛かるでしょう?」
「そうなんです。」
「そこで援助をしてほしいと?」
「そうじゃないんです。それは、彼女の性格が許さないと思いますし。」
「そうですか。………それでは、オペレーション・サンクチュアリ特例制度0104を発動します。」
「0104……?どこかで見た数字のような。」
「まあ、気にしないで……」
「あぅ〜。恭子が勝手に番号を決めるから〜。」
「そんなことは置いておいて。……」
そしてオペレーション・サンクチュアリ特例制度0104が
発動された。
−オペレーション・サンクチュアリ特例制度0104とは?−
オペレーション・サンクチュアリは、万が一失敗に終わった時、
現在に移った人々の社会的立場を保証することを原則としていた。
成功した今となっては、この原則も動き出すことはなかった。
しかし、これは、成功した後、現在に残った人間の社会的立場を保証するために
地位・お金などを提供し、サポートする為に特例制度を作ったのだ。
……0104は別に関係ない
数ヶ月後……
特例制度のおかげで店舗を設けることができ、
二人の花屋「サンクチュアリ」は、オープンした。
最初の頃は、わからない事ばかりで大変だったが、
慣れてくると常連客も増えて来た。
「ありがとうございましたぁ。」
「…あぁ〜。終わった。」
「お疲れ様でした。」
「うん。お疲れ。…何か飲もうか。…なにがいい?」
「紅茶をお願いします。」
「最初は結構辛かったけど、落ち着いてきてよかったな。」
「はい…」
「……はい、…どうした?
」
「迷惑かけてしまってごめんなさい。」
「え? 別に迷惑じゃないよ。俺が望んでやってるんだから。」
「でも、なんか私の我が儘に付き合ってもらってるみたいで。」
「…けっ……結婚しよう。」
「え?」
ちひろは久住のいきなりな発言に顔を真っ赤にして驚いていた。
「…結婚しよう。…夫が妻の我が儘に付き合うのは当然だろ?
だから……結婚しよう。」
「久住先輩……」
「ちひろ…」
その場で二人は抱き合い、約束の接吻を交わした。
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[蓮見台学園 保健室]
「そうか…久住も結婚かぁ。」
「い〜いですねぇ。」
「私より先に結婚するなんて…」
「そ〜うですねぇ。」
「どうせ私は、出会いのないつまらない女よ……」
「そ〜うですねぇ。」
「こ〜ら〜そこ肯定するとこじゃないでしょ?(ニコリ)」
恭子は結のこめかみをグリグリしていた。
「いたいですぅ。」
「橘のまねしても駄目ですよ〜だ。」
「藤枝さんのまねですか?」
「違うでしょ!」
「????」
「……そういえば結婚式はやるのかしら。」
「そういえば、何も聞いてないですね。」
「聞いてみようか。」
「どうやって?」
「たらりらったら〜 携帯電話〜!」
「あぁ〜! 恭子だけずるい〜!」
「それにちょっと問題な台詞のような……●○●○●?」
「言っちゃ駄目!……とっとりあえずかけてみましょ。」
「画面が黒いままですよ。」
「え?なんで?壊れた?」
「電池切れ?」
「…あ。そうかも…ちょっと待ってね」
<がさごそx2 コンカンx2 バラバラx2>
「買ってから充電したことあるのかな?」
[約1時間後……]
「OK!使えるようになったわ!」
<ピポパ…>
「RiRiRi…RiRiRi…はい、渋垣です!」
「あ、渋垣さん? 仁科です。」
「あっ仁科先生!こんにちは!」
「今日は久住のことについて聞きたいことがあるんだけど…」
「結婚のことですか?」
「うん、そのこと。 あっとりあえず従兄のご結婚おめでとうございます。」
「あっ、ありがとうございます。……って私の事じゃないんですけど(笑)」
「ははっそういえばそうね。」
「で、何の話でしたっけ?」
「……久住は結婚式いつやるかどうかしってる?」
「今のところやらないみたいですよ。」
「そう。やっぱり忙しいのかな?」
「いや、それより費用の問題なんじゃないかと思うんです。」
「そう。やっぱりね。」
「……そうだ! 私たちで手作りの結婚式を開いてあげるのはどうですか?」
「いいわね。 やりましょう!」
「わかりました! こっちで計画とか準備をしておきます。」
「わかった。こっちもできる限りのことをするから。」
「はい! じゃあ失礼します!」
「どうでした?」
「まだ本人たちは、やる予定はないらしいんだけど、私たちで手作りの結婚式を開こうって話になったの。」
「いいですね。」
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「茉理ちゃん?ここってがっこうだよね?」
「うん。」
「学校に来たのはいいけど、どこに行くんだ?」
「ん? 温室。」
「温室!?」
「なんで?」
「まあまあ、とりあえず温室の前に時計台行くよ。」
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「茉理? これなんだ?」
「いいから着替えて!」
久住とちひろは茉理に言われるがまま、タキシードと……
「これって……」
「ウエディングドレス?」
「直樹の割には鋭いじゃん。」
「…それで、私たち手作りの結婚式に出て。」
「結婚…………」
「………………………式?」
「うん。 あっ早めに着替えてね。」
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俺たちは着替えた後、温室のドアの前に立っていた。
温室はガラス張りなので中にいる人が見える。
……みんな来てくれたんだ。
「じゃ、入って!」
「うん。」
<ガチャ>
「結婚おめでとう!」
「おめでとう!久住!」
「おめでとう!ちひろ!」
「……あっ…ありがとうございます!」
ちひろはもう泣き出しそうだ。
「…ありがとう。」
「直樹、もっと感情込めて言えないのかなぁ。」
別にうれしくない訳じゃない。
……逆にうれしすぎて、感情がこみ上げてきそうなんだ。
「悪い。ほんとに感謝してる。」
「うん。 じゃあ、誓いの言葉!」
「……え?言うの?」
「当然! わからないならカンペもあるから。」
恥ずかしい感じはした。
でもちひろに対する俺の気持ちは本物だから
あえてはっきり言ってやろう。
「え〜。私、久住直樹は、橘ちひろを妻とし、守り、幸せにすることを今、皆さんの前でここに誓う。
……辛いときも。 ……そして幸せなときも。」
「ちょっとかっこよすぎじゃない?」
「まあまあ、……じゃあ、ちひろ!誓いの言葉!」
「う…うん。」
「大丈夫?」
「大丈夫。 これは私だけで言わないと。」
「うん。」
「……えっと……私、橘ちひろは、久住直樹を夫とし、辛いときも……幸せなときも
妻としてサポートし、幸せな家庭を築く事を誓います。」
「……うん。」
いつの間にかにみんな泣いていた。
泣くほど喜んでくれる仲間がいてくれることが
とてもうれしかった。
「そろそろ約束のキス……行ってみようか!」
そして俺たちはみんなの前で誓いの接吻をした。
この人とならやっていけると思う。
そう思うからここまでやってこれたんだ。
そう思うからこれからもやっていけるんだと思う。
不安? そんなもの全然ないね。
なぜなら…
なぜなら俺たちには「サンクチュアリ」があるから……
Fin